世の中の中小企業の社長にとって「安くしたら売れる」という思い込みがあります。
これは昔の自分も当てはまっていました。
月の顧問料を安くしたらお客様が増えると思っていたのです。
新規のお客様が思うように増えない状況になると、顧問料を「9,800円~の低料金」なんて打ち出したらお客様が増えると思っていました。
特にリーマンショックがあったときなんて新規が増えるはずがない、安くしないとお客様が減るかもしれないと思っていたことを懐かしく思い出します。
昨今のコロナ禍や世界情勢の変化に伴う物価高騰で、景況感が悪くなってきていると感じると「安くしないと売れない」と思いやすい状況がそろってきています。
昔、「低価格にすること」で増収をしようとしたことは本当に失敗だったと反省しています。
この「安売り」で集客をすることは中小企業にとっては難しいということを知らなかったからです。
薄利多売のビジネスを展開するには、色々な条件をクリアしていなければ成立しません。
ワンコインランチで利益を出そうと思うと、相当の数をこなさなければ必要な利益は出せません。
その結果、中小企業では家族経営で人件費を実質ゼロにすることで利益が出ているように見えるという飲食店は相当あると思います。
外部から雇用をして採用できるだけの給料を払うと決めたら、その低価格でやっていけないということはよくあります。
しかし、大手チェーン店の飲食店は低価格でもやれているのには理由があります。
仕入価格を抑えるとともに、ネームバリューのある求人ができます。
いずれも中小企業にとっては使えないカードを持っているからそれでも利益を出しやすいのです。
安売り合戦をするのは、誰かの犠牲の上に成り立っている可能性が高いのです。
そのために、継続することは難しいのです。
そもそも、その会社が選ばれているのではなく「安いから使ってやっている」という理由になっていることも多いのです。
だから、他社が1円でも安くすればあっという間にこちらの売上が下がるのです。
中小企業は大手のように規模で利益額を稼ぐことができないので、安売り以外に選んでいただく理由をしっかりと作っていく必要があります。
売上を上げればよいのではなく、「どのような売上を創らなければならないのか」という視点で経営をすべきなのです。