年間延べ250社以上の実績

建設業のコロナ融資の付き合い方

札幌市白石区の建設業に強い千葉税理士事務所です。

今回は建設業のコロナ融資の考え方についてお話しします。

令和5年からコロナ融資の返済が始まっています。

数字の上からもコロナ融資の返済が始まってから倒産件数が増えています。

おそらく、これは今後も続きます。

私たちは建設業に強い税理士事務所です。

建設業のコロナ融資の考え方についてお話しします。

(目次)

1.建設業がコロナ融資で受けた恩恵とは

2.建設業の貸借対照表を確認するポイント

3.収益力の改善ができる可能性は?

1.建設業がコロナ融資で受けた恩恵とは

コロナ融資は新型コロナが発生してから緊急で設けられた融資制度が始まりです。

コロナ融資というとゼロゼロ融資のことを指すことが一般的ですが、実際には今もコロナ融資自体はあります。

ここではゼロゼロ融資があったときに調達したコロナ融資が建設業に与えた恩恵についてお話しします。

日本政策金融公庫の資料(融資残高の業種別内訳)によると令和2年度に急激に融資残高が増えています。(令和元年対比157%)

平成29年度末から令和元年度末までの3年度は、建設業に対する業界別融資割合は約4.6~4.8ポイントでした。

令和2年度末の建設業に対する融資残高割合は6.3ポイントに上昇しています。

様々な業種に新型コロナの影響はあったわけで、融資で資金調達をしました。

コロナ融資が実行された金額のうち建設業の融資が多かったということになります。

建設業はコロナ禍で融資により手持ちキャッシュを厚くしたということがわかります。

つまり、あなたの会社だけが特別なわけではなく周りの建設業の会社も同じように資金を調達していたのです。

ライバルもあなたも同じ状況かもしれないということです。

コロナ融資の資金調達で預金残高が一時的にでも増えたのではないかと思います。

今、あなたの会社の預金残高はどうなっていますか?

2.建設業の貸借対照表を確認するポイント

コロナ融資の恩恵としては、資金調達が平常時では考えられないほど簡単に行えたと思います。

スピード感と融資額の両方が異次元だったはずです。

このコロナ融資の返済がいよいよ始まっているわけです。

借入額が多かったということは返済額も大きくなるということです。

残酷な言い方ですが預金残高が無くなってから慌てたのでは手遅れです。

そこで、今あなたの会社の貸借対照表を見てみてください。

あなたの会社が安全なのか・危険なのかを見るポイントをお話しします。

①預金残高と長期借入金のバランス

②純資産の部の金額

③固定資産の残高

貸借対照表のチェックポイント

①預金残高と長期借入金のバランス

皆さんの会社には会計ソフトが入っていると思います。

その会計ソフトから残高試算表というものを出力してください。

できれば、今会計処理が終わっている月のものを出してください。

会計ソフトには現預金という科目と長期借入金という科目があります。

そこの金額を見てください。

「現預金>長期借入金」であれば、今手元にある現預金で借入金を一括返済できる状況にあるということです。

この状況であれば「実質無借金」という状況なので、今すぐ金銭的な問題は起きないでしょう。

もともと業況が悪くてコロナ融資を調達したのではなく、念のため調達した会社という場合がこの状況になります。

「現預金<長期借入金」という場合はどうしたらよいでしょう?

長期借入金と現預金の差額がどれくらいあるかでやるべきことが変わってきます。

②純資産の部の金額

前期の決算書でも直近の試算表でもよいので「純資産の部」というところを見てください。

普段は現預金や売上・利益に目が行くと思いますが、貸借対照表の右下の純資産の部の金額を確認しましょう。

ここを確認する理由は「万が一起きたときに資金調達に影響する可能性が高い部分」だからです。

この純資産がマイナスの会社は「債務超過」という状況です。

債務超過は資本金を過去の赤字が超えている状況です。

つまり、この会社は創業から今までをトータルすると業況が悪い会社だったんだなということになります。

会社の財産よりも負債のほうが多い会社です。

赤字になると自分のお金だけで回せなくなり、借入や支払いを遅らせることで経費を払ったりします。

その結果、赤字の累積が大きくなり債務超過になっていくわけです。

債務超過の会社は銀行評価が下がってしまうので、できるだけ回避する方が良いです。

③固定資産の残高

固定資産の金額が大きな会社は資本金や借入金をここに使っていることになります。

設備投資が大きな会社はより多くの利益を出せなければ、使えるお金が少ないことになります。

本来の設備投資はより多くの利益を出すために、設備投資をするということが正しいです。

なぜなら、設備投資は今時点の状況で効率化はできますが、その設備が陳腐化したり、その商品・サービスが売れなくなった場合には意味のないものだからです。

短期的に設備投資した金額を利益で回収できなければリスクが大きいという意味です。

あなたの会社の試算表や決算書で固定資産はどれくらいの金額がありますか?

もしも、大きな金額があるのであれば「減価償却」をきちんとしていたかどうかも確認しましょう。

借入金が大きな場合は、不要な設備があれば早期に売却してキャッシュを厚くすることも検討します。

これはぎりぎりになってからやることは難しいものです。

時間的余裕をもって判断をしていくことが重要です。

3.収益力の改善ができる可能性は?

「手元の現預金>長期借入金」ではない建設業は融資で受けたお金を使ってしまっている状況です。

将来的には今ある現預金を増やしながら返済していかなければ、残高不足になるということになります。

本などで紹介されている手元のお金を増やす方法は次のようなものです。

①固定資産を売却する

②未回収の売掛金を回収する

③コストダウンをする

とくある手元キャッシュを増やす方法

不要な固定資産を売却することでキャッシュを増やすことはできるのですが、事業の継続に影響がなく、かつ、お金になるものというのは少ないものです。

業歴の長い会社であれば土地などを持っているケースもあるので、使っていない土地を売却するという方法もあります。

次の未回収の売掛金を回収するということは実質的に不可能です。

元々きちんと払ってくれる相手であれば回収済みなわけで、連絡がつかないか、電話をしてもノラリクラリと支払わないで逃げ回られた結果です。

これはあきらめましょう。

むしろ、連絡をすることで次の現場を手伝ってくれたら払うからと次の損失に巻き込まれるきっかけになるので近寄らないに越したことはありません。

コストダウンは場合によっては効果的です。

無駄な経費を使っている場合はコストダウンも可能ですが、物価高騰時代の今はコストダウンをすることで売上が下がるリスクが上がります。

無駄と必要なものを見極めないで一律○○%コストを下げるというのは経営的にやってはいけないのです。

ではどうしたらよいかということをお話しします。

①コロナ融資を返済するためにいくらの売上が必要かを計算する

②取引先別・現場別の収益性を確認する

③値上げ交渉をする

収益力改善の方法

お金が足りないから、とにかく売上を上げようと考えると失敗します。

冷静にいくらの売上が足りていないのかを把握することからスタートします。

そうしなければ、なにがどれくらい足りないのかがわからないのです。

仕事量がわからないとやるべきことの量もわからないまま、動き回ってしまいます。

「現場ないですか?」と闇雲に聞いても赤字現場が増えたり、未回収現場ができるだけです。

コロナ融資の返済をしていくためには、自社の状況と取るべき対応を冷静に把握することが必要です。

収益改善で間に合わない場合は、借換やリスケということも必要になります。

ギリギリになって動いたのではだめです。

余裕がある今だからこそできる対策があります。

まずは税理士さんに相談していきましょう。

関連記事

コメント

この記事へのコメントはありません。

私たちが選ばれる理由とは

超濃厚な資料の一部はこちら

まずはこちらがおすすめです。

お問合せ

お問合せQR
TOP