札幌市白石区の経営に強い千葉税理士事務所です。
今までは経営者にとっては、金融機関から資金を借入する場合に「金利」についてそれほどネックになっていなかったと思います。
日本がマイナス金利政策となっていることで円安が進んでいるといわれていて、現時点ではこの政策が維持されています。
しかし、円安で物価高の要因になっていることもあり、今後の政策変更で金利が上昇になる可能性は十分にあります。
今回は今後想定される「金利上昇局面」に経営者が考えるべきことを見ておきましょう。
(目次)
1.低金利で恩恵を受けたのは?
2.金利上昇に転換すると収益力の低い会社は厳しくなる
3.財務と損益と人材のトリプル対策が必須
金利上昇局面で経営者が考えるべきこと
1.低金利で恩恵を受けたのは?
日本は長い間低金利が続いています。
この低金利と量的緩和の政策で企業は資金調達がしやすい環境にありました。
本当に業況がわるい会社は決算書による判断で融資を断られるということもあったと思いますが、割と資金調達はしやすい状況だったのです。
しかも、低金利なので利息も低く抑えられていたわけです。
[「良い会社=低金利」で借りられるというのが原則ですが、高いといっても元々が低金利だったので業況が良くなくとも金融機関調達の場合は低金利でした。
さらに、コロナ禍は業況が悪く通常では融資が受けられない、またはその融資金額が下りることはないという規模での融資実行がなされた会社もあります。
低金利局面やコロナ禍のコロナ融資で恩恵を受けられたのは、収益力の弱い会社が調達できない金額の調達ができたといえます。
さらに、その調達コストの金利が低金利又はコロナのゼロ金利だったということが起こっていました。
2.金利上昇に転換すると収益力の低い会社は厳しくなる
現在はコロナ融資自体は一部残っていますが、かなり縮小されていると感じます。
むしろ、コロナのゼロゼロ融資の返済というかたちで返済が始まってきています。
この状況下で金利上昇局面に転換すると、低収益力の会社は今の融資返済よりも厳しい状況になっていきます。
金利が上昇すると、借換で返済期間を伸ばそうとした場合に、高い金利での借換になります。
収益力が低く、現状の返済ペースがきつい会社が今よりも高い金利で融資調達をするという状況になります。
さたに、コロナ融資で融資実行金額が増えている金融機関からすると、新たな貸付は慎重になってくる可能性があります。
低収益の会社の場合、返済原資がより必要になる状況下での借換検討ということになり、融資自体が難しくなる可能性があります。
通常金利が上がるのはインフレを抑える効果が期待されるかもしれませんが、今後の利上げは低金利をやめる程度の話なので、インフレ抑制という話になるかどうかはわかりません。
物価はある程度上がったまま、もしくは、もっと値上げになるかもしれません。
なぜなら、コロナ融資でどこもかしこも融資で借入が膨らんでおり、それを返済しなければならない状況だからです。
返済資金を確保するためには、値上げをある程度しながらでなければ事業継続が無理なくらいの借入を抱えています。
低収益のまま今の借入残高を返済し続けるとしたら、相当の数をこなさなければ無理というのが各会社の状況です。
3.財務と損益と人材のトリプル対策が必須
金利が上昇すると、損益面で収益力アップが必要になります。
それは融資による資金調達コスト(金利)が増えるからです。
財務面では無駄なものへの投資はカット・または売却することで借入金返済にあてて債務を圧縮することが必要になります。
最低限、不要なものをキャッシュに変えて、新たな融資を受けなくても回る状況にする時間を稼ぐ必要があります。
利益率の改善が難しい会社は利益額を確保するために数を伸ばす必要が出ます。
この局面では人の手が必要になりますが、人手不足という状況はすぐに解消されることはありません。
そうなると、採用という部分で他社よりも優れている状況にできなければ、返済プランが立たないということになります。
一番最初に財務の部分の改善の可否を検討し、続いて損益改善のために、採用問題を解決する必要があるということになります。
これを短期間で検討・実行していかなければ金利上昇局面では資金を回すことが難しい会社が増えていくでしょう。
年に一度の確定申告や法人決算を待っていたのでは手遅れになるのはこれが理由です。
だからこそ、税理士さんとの打合せは領収書のチェックではなく経営的な話をしてほしいのです。
実際に資金が詰まってからでは、対策ができません。
まずは、税理士さんに現状と今後の対策について相談をしてみてください。
コメント