札幌市白石区の経営に力をいれている千葉税理士事務所です。
公庫や金融機関から融資を受ける際に要求されるものは「過去3期分の決算書」「前期比較の試算表」が多いと思います。
この決算書や前期比較の試算表では「改善」や「衰退」といった傾向は気が付かないことをご存じでしょうか?
(目次)
1.過去の決算書の比較でわかるもの・わからないもの
2.経営的にみえていたらよかったのにという「傾向」とは
3.傾向を見ながら対策をとるとかなり変わる
1.過去の決算書の比較でわかるもの・わからないもの
日本政策金融公庫の融資や銀行などの金融機関系の融資を打診したら、過去3期分の決算書と直近の試算表が求められます。
その後に融資制度の条件に合っているかの確認などで、「前期比較の試算表もお願いします」といわれることもよくあります。
ゼロゼロ融資が終わりましたが、経営や資金繰りに対するコロナの影響は大きく、これからが資金繰りの本番になってくるでしょう。
融資を受けたいというときの必要書類という意味では過去の決算書は前期比較の試算表は重要なのですが経営的には意味がないということをご存じでしょうか?
なぜなら過去の決算書の数字は変えることのできない「終わった話」です。
ここが良かったのであれば今の財務体質は改善されつつある可能性が高いという指標にはなります。
しかし、これから先の事業展開に対しては改善の手立てとして考えることができません。
2.経営的にみえていたらよかったのにという「傾向」とは
私たちのお客様に「傾向が見える経営資料」を使っているお客様と使っていないお客様がいらっしゃいます。
傾向が見える資料を使っているお客様にも「毎月使っているお客様」と決算時だけ使っているお客様もいらっしゃいます。
打合せをしながら資料確認をしているときに「決算時であったなら手遅れだった」と感じることが多々あります。
その傾向とは次のものの増加・停滞・加工の傾向がわかります。
①売上高の傾向
②変動費(減価)の傾向
③人件費の傾向
④固定費の傾向
⑤営業黒字(営業赤字)の傾向
経営的に見えていると助かる傾向とは
1期・1年間の間で徐々に下降傾向が出ていたのであれば、その年度内に下がった分析をしその原因に対する対策をとることができます。
仮に決算期だけに1期分の傾向グラフを見たのでは、前期比較で下がったということしかわかりません。
つまり、その期の内に対策を考えて始めることはできなかったということになります。
これ重要なことです。
つまり、その会社は決算後に銀行融資を受けようと思ったのであれば資金調達のできない赤字会社になっている可能性さえあったということです。
期中に対策をとることで、来期の資金調達に向けた対策を今すぐできたのです。
これができる顧問形態が最近選ばれているのはここに理由があるようです。
3.傾向を見ながら対策をとるとかなり変わる
実際に傾向を見ながら経営をされる方とされない方では大きく変わっていると感じます。
前期末の傾向では「横這い」に見えていた会社様が期中に「下降傾向」になってきているのが見えたことがあります。
仮に一般的な試算表を出していただけでは、この傾向は全く見えません。
気が付くのは決算時に前期比較をしたときに●%の売上ダウンの利益が▲万円減ったという過去の結果です。
傾向が出始めた時に原因を考えていれば、フレッシュな状態で分析できますが最長1年前の原因を考える決算時の振り返りでは原因さえあいまいになります。
幸い傾向でとらえている会社は「下降傾向になった原因」を考えていただき、まずは横ばいに戻す対策を考えていただきました。
現実にはすぐに改善することは少ないのですが、長期的には「今の下降傾向よりはよい状況になっていく」と思います。
何もしなければその原因はどんどん加速していくからです。
しかも、その原因を知らないうちに下降傾向がきつくなるのです。
改善するのにも資金手当てが必要だとしても、決算結果が悪ければ資金調達もできなくなるのです。
普通の決算書では見えない「傾向」を見ながら経営することが長期的に楽な経営ができるのです。
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