札幌市白石区の経営に力をいれている千葉税理士事務所です。
令和4年7月14日に金融庁から生命保険会社に対して、いわゆる節税保険販売についての業務改善命令が出されました。
生命保険については法人税の通達や所得税の通達により、取り扱いが定められていますがこれの抜け穴をついて「節税のための保険募集」をしたということになっているようです。
詳しくは金融庁HPに記載されております。
金融庁HPへのリンク
保険を取り巻く税制は「いたちごっこ」のように、改正により「節税」というものが難しくなってきました。
前回の改正により節税目的ではなく、保障としての本来の働きとして使うようになってきたといえます。
改正前までに加入していた保険については加入時点の取り扱いが継続されるので、過去の節税保険は今後もその処理が継続されます。
節税保険の間違った使い方とは
節税保険といっても使い方によっては「これでよいの?」と思われるケースがあります。
赤字の法人
資金構造からみて保険料が高すぎる
何のための保険なのか目的があやふや
この保険加入でよいの?
赤字法人
保険節税をしたいという会社はたいてい利益が出ているときに考えます。
保険料は毎年発生する経費になります。
利益状況の良いときに高額の保険に加入すると、景気や業況が悪いときには赤字転落する上に、資金繰りを圧迫します。
そもそも「元々は保険料を運転資金として使っていた結果出せていた黒字」という可能性もあるので、保険料で資金拘束が強くなると赤字になりやすくなることもあります。
赤字になった場合には、手持ちキャッシュが少なくなっているのでより黒字のための運転資金がなくなっていく悪循環になります。
投資すべきものに投資できずに、短期的にものごとを考えるリスクが高くなります。
何のための保険なのか目的があやふや
保険の中には解約返礼率の高いものや掛け捨てと呼ばれるものまでさまざまです。
保険は「本来リスクのための保険」です。
経営者や従業員に病気や死亡などが起きた場合に、金銭的リスクを抑えるために保険料を支払っておくというものです。
ここで、誰のための、何の保障を用意すべきなのかという目的も重要になります。
一方で解約返礼率というものもあるので、単純に保険事故の場合だけの保障ではなくなっています。
保険を解約することで出てくる解約返戻金でも「金銭的保障」というものは作ることができるからです。
そう考えると、事業としての運転資金の確保と事業上のリスクと福利厚生というものを組み合わせて保険を考えなければいけないのです。
しかし、利益が出ているときに「節税ありき」という保険営業で契約してしまっている場合には、先ほどの目的からかけ離れてしまっています。
資金繰りに問題がないうちには良いのですが、リーマンショックやコロナ禍、物価高騰など予期しない事態が起きた場合に対応することが難しくなってしまいます。
なぜなら、目的という基準がないからです。
こうなってしまうと、保険を使うという発想ができなくなってしまいます。
保険の見直しをどうすべきか?
コロナ禍のゼロゼロ融資の返済が始まってくる時期には保険の見直しを検討する時期かもしれません。
ゼロゼロ融資の返済は会社の財務を大きく変化させます。
同時にこの返済が同業他社の動きにも影響してきます。
そんな中で自社の保険を見直すことで、「何が事業のリスクなのか」と向き合ってみてはいかがでしょう?
保険の解約返礼率の良し悪しや新商品というだけで選んでいては、事業自体の勝負に負けてしまいます。
事業という観点から保険を考えていきましょう。
私たち千葉税理士事務所では、経営という観点と財務という観点で保険を考えております。
もしも、心配という方は今すぐご相談ください。
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