札幌市白石区の経営に力をいれている千葉税理士事務所です。
飲食店も人手不足が叫ばれていますが、アルバイトだけではなく正社員の採用が難しい業種になっています。
今回は飲食店の正社員採用が難しい理由を考えていきましょう。
(目次)
1.飲食店は家族経営が多かった理由
2.働き手と雇用側の利害が一致しやすい業種
3.正社員は他業種と人材の奪い合い
1.飲食店は家族経営が多かった理由
今から30年以上前のことを思い出すと、住宅街には家族経営の飲食店がよくあった気がします。
大手チェーン店よりもお父さん・お母さんで経営している定食屋さんや居酒屋さんがそれぞれの地域にあったと思います。
その店の売上で家族が生活していくという状況だったので、他人を雇用していなければその売上はその家庭の収入になったわけです。
家族経営の飲食店は自分の人生設計(ライフプラン)がある程度見えていれば、無理をしなくとも、しっかりとご飯を食べていける状況でした。
店舗と自宅が一緒というところもあり、そのような形態では生活と事業が一体として動いていました。
他人を雇用するよりも、家族経営の方が金銭面でも労働環境面でもよかったのかもしれません。
行列ができるお店でなくとも、家族の生活は成り立つ状況でした。
しかし、大手チェーン店の出店や税金面や年金などの国民負担率の上昇など外部環境の厳しさが高まる中で、自分たちが食べていけるくらいできればというやり方では売上が減る一方になるリスクが増えてきました。
2.働き手と雇用側の利害が一致しやすい業種
大手チェーン店などは飲食店の労働力としてパート・アルバイトの雇用をたくさんしています。
働き手側は「扶養の範囲内で働きたい」という意向と雇用側の「低コストで労働力を確保したい」という利害が一致しやすい状況でした。
最近ではパート・アルバイトにも社会保険を掛けるようにという流れになりましたが、少し前は扶養の範囲であれば社会保険を掛けなくてもよいという低コストの労働力だったわけです。
飲食業が客単価の低いものから高いものまで様々ですが、客単価自体は割と低めな業種になります。
家賃などの固定費を考えると、単価が低い分、多くの客数を裁かなければなりません。
客単価を上げるためには、より多くの商品を提供しなければなりません。
そうなると、商品を作るスタッフやホールの人材など人の数が必要になります。
ここで働き手の数は必要だけども、高い人件費は難しいという構造になってしまいます。
その結果、飲食店の人材は正社員よりもパート・アルバイトによる人数確保ということが望まれてきました。
3.正社員は他業種と人材の奪い合い
飲食業でも家族経営から脱却しようとするとパート・アルバイトだけではなく正社員も必要になります。
以前は家族経営で食べていければ大丈夫という飲食業にとっては、正社員を必要とはしていなかったと思います。
パート・アルバイトは割と採用しやすく、何とかなっていました。
でも、今ではパート・アルバイトの採用自体が難しくなっています。
それであれば、中途半端な規模で事業をやっていくことが難しいので、正社員でしっかりと規模の拡大も視野に入れて進めていくことを検討する方もいらっしゃると思います。
ここで正社員の採用を考える飲食業は他業種との人材の奪い合いという状況になります。
正社員となると、今の給与体系だけで採用できるわけではありません。
将来的に給料が上がっていく可能性があるのかということと、やりがいという2つを満たさなければ選んでいただけないという状況になります。
大手の飲食業と小規模の飲食業の正社員でどちらが選ばれるのかという視点だけでなく、異業種の正社員との比較になってきます。
また、飲食業の新規出店の参入障壁は低いので、独立開業という形での離職もありえます。
自社が長期的に選ばれていくことと、安定して採用できるだけの仕組みをつくならければ成長することが難しくなります。
この正社員を採用できる飲食業を作ることは、長期的に増益できる会社を創ることにつながります。
ただ、今だけをみて飲食業を展開するよりも、正社員が採用できる会社にするという目標をもっている飲食店では考え方や取り組みは大きな差が生まれます。
もしも、飲食業で成長していきたいと考えられている方は今すぐご相談ください。
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