札幌市白石区の建設業に強い千葉税理士事務所です。
建設業もコロナ禍でコロナ融資を受けている会社も多いと思います。
実際に借入金の返済が始まる中で、今の損益が黒字だったらよいと思ってしまっていませんか?
今回は建設業は今の損益だけを見ていたのでは将来が厳しくなる理由をお話しします。
(目次)
1.会計事務所から黒字だったら大丈夫と教わっていませんか?
2.減価償却費+利益が増えたお金と思っていませんか?
3.今黒字でも将来が暗くなる理由とは
1.会計事務所から黒字だったら大丈夫と教わっていませんか?
会計事務所の担当者がよく行う決算時の説明は「社長!何とか黒字になりました」です。
その理由は「会社は赤字だと融資を受けにくくなるので黒字が大事です」ということになります。
建設業の経営者もその理由はなぜかということを深く聞いたことがないというのも問題なのですが。
実はこれは間違いです。
銀行の方からは「赤字より黒字にしてください」と言われたことがあるから、黒字にすればよいというながれになってしまっていることが多いのですが、実際には「黒字になりました=減価償却費を調整して黒字にした」ということがほとんどです。
金融機関側では実質的に黒字か赤字かを修正して検討します。
つまり、減価償却費を調整して黒字にしていても金融機関側では減価償却費をMAXした状態で赤字か黒字化を検討しなおします。
無理やり黒字にしたとしても、融資の検討段階ではあまり意味はありません。
本当に大切なことは計画的に黒字が出せるように売上を上げる努力と利益を確保する意識で黒字にすることです。
コストダウンで利益を出そうとすると、コストダウンした年度はぎりぎり黒字でも翌期以後は赤字体質になっていく傾向になります。
なぜなら、売上は下がり続けコストダウンできるものがなくなっていくからです。
そうなると減価償却費を止めてでも黒字化しないと赤字決算になることになります。
2.減価償却費+利益が増えたお金と思っていませんか?
会計事務所の説明でお金の話があります。
その中でよく使われるのが「減価償却費+利益=増えたお金」という話です。
よくわからないけども、なかなか聞き返すことができないかもしれないので個々の部分をお話しします。
減価償却費はお金の出ていかない経費なのでキャッシュの面ではプラスです。
一般的な経費はお金が出た部分が経費になるというのが原則です。
一方、減価償却費は購入した固定資産を税法で決められた方法で計算した金額以下を経費に計上するものになります。
そのため、「経費としてはお金が出ていっていないもの」だけど経費にできているものということになります。
ただし、固定資産を購入しているので購入時か分割払い・ローンの返済という形で経費とは時期がずれてお金は無くなっています。
だから、その期間のお金の増減の説明上は利益以上に減価償却分はお金が出ていっていないという考えで足し戻してお金の増えた分という説明をしています。
実際の会社のお金の増減はもっと複雑になります。
損益とは関係のないお金の支払いは調整する必要があります。
例えば次のようなものの調整が必要になります。
①借入金の返済と借入の調整
②在庫として購入した商品などの調整
③前払いしている経費の調整
④その他経費にならないものの支払いの調整
会社の現預金増減の調整項目
これをわかりやすくまとめたものが、キャッシュフロー計算書というモノになります。
このキャッシュフロー計算書を作って説明すると大事になるので、会計事務所は「減価償却+利益がお金の増えた分」という表現でざっくりと伝えているのです。
会社経営のことを考えると、キャッシュフロー計算書を緩くでもよいので理解しておいた方が将来のキャッシュがどうなってしまうのか理解できるようになります。
3.今黒字でも将来が暗くなる理由とは
今期が黒字でキャッシュの増加にも問題がないからといって安心してはいけません。
会社経営は今が良いことも大切ですが、将来もよいということが必要になります。
①黒字にも良い黒字とそこまでよくない黒字がある
②将来の成長は今の黒字とつながっていないことがある
今の損益で安心してはいけない理由
黒字というのは税引き後利益(当期純利益)が黒字のことを言います。
建設業の場合、本業で黒字の会社は「営業利益」というところで黒字の会社です。
北海道の建設業は営業利益は赤字でも、その下の経常利益というところで黒字になっている会社も多いのです。
営業利益は本業で利益を出せると黒字になります。
経常利益は営業利益の後に、支払利息を差し引いて、これに雑収入という本業以外の収益を足して計算して出た利益です。
つまり、本業以外の損益が加味されて出される利益が経常利益になります。
北海道の建設業がここで黒字になるのは、北海道の建設業特有の通年雇用安定奨励金などの助成金が多く当たることがあるからです。
本業が赤字でも人件費を基に給付される通年雇用安定奨励金が多いと黒字になります。
しかし、このような奨励金や助成金などは毎年必ずもらえるものではないので本業利益の営業利益で黒字にしていないと本業の力のない建設業ということになります。
話は脱線してしまったのですが、今が黒字でも5年後などに黒字になるかどうかは分かりません。
むしろ、人の採用ができていない会社や従業員さんの年齢が高い会社は5年以後には売上は下がっていく可能性が高いです。
物価高という状況をみると、会社の運営費は年々上がっていきます。
売上が下がれば簡単に赤字なってしまいます。
金融機関からの融資で資金調達をしたくとも、赤字の会社はそれも難しくなります。
社長の年齢が上がってくると新たな資金調達自体ができない可能性もあります。
だからこそ、今の業況が良い時期に将来の黒字に対して手を打つことを意識しましょう。
私たちが建設業の会社に選ばれる理由は、この建設業の経営に関する考え方をしっかりとお伝えしているからです。
もしも、建設業の経営について考えていきたいという方は今すぐご相談ください。
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