札幌市白石区の経営に力をいれている千葉税理士事務所です。
コロナ禍で役員報酬を減額し続けている経営者も多いと思いますが、そろそろ経済の正常化が進みコロナ前に戻りつつあると思います。
ちょうど役員報酬を改訂しようかと考えている会社も多いと思いますので、役員報酬の考え方をお話しします。
(目次)
1.役員報酬改定の時期とは
2.役員のボーナスが経費で落ちる(事前確定届出給与)の本当の使い方
3.役員報酬改定は税理士さんに聞いてみよう
1.役員報酬改定の時期とは
いきなりですが従業員は「給与」で役員は「報酬」と呼び方が異なっていることをご存じでしょうか?
従業員は労働者という位置づけで雇用関係で契約が結ばれています。
一方で役員は雇用契約ではなく、委任契約という契約で結ばれているからです。
会社の指揮命令を受ける従業員と会社の運営を委任されている役員では役割も異なるという違いがあります。
ただし、一般的な法人は役員(経営者)も従業員と同じように現場で働き営業もしているのですが、会社運営業務の一部として業務を行っているという扱いです。
そのため、残業手当も休日出勤の手当という考えもないといわけです。
話はそれましたが、従業員さんのベースアップの時期と役員報酬の改定時期が一致しない理由もなんとなく感じてただけ高と思います。
役員報酬の改定は「定時株主総会」で行われることが一般的です。
その根拠は次の要件があるからです。
①会計課期間開始の日から3月を経過する日までにされた役員報酬の改定
②①の改定が継続して毎年所定の時期にされるものであること
③支給時期が1か月以下の一定期間ごとの給与であること(定期給与)
定期給与とは
会計期間とは事業年度と考えるので、4月スタート3月終了の事業年度の法人であれば、決算後の株主総会は5月末になります。
5月末は事業年度開始から2月ですので、会計期間開始から3月以内に行われているので問題がないということになります。
定期株主総会は法人税の申告をする際にも実施しておく必要があるので、この時に役員報酬の改定も行うのが一般的です。
2.役員のボーナスが経費で落ちる(事前確定届出給与)の本当の使い方
役員にもボーナスが出せることをご存じでしょうか?
しかも、法人税法上経費になる方法があります。
それが事前確定届け出給与というものです。
要件も見ておきましょう。
①株主総会等の決議により定めること
②所定の時期に確定した額の金銭等の交付をする定めをしていること
③①の決議をした日から1か月を経過する日までに事前確定届出給与の届出を税務署にしていること
事前確定届け出給与の要件
≪事前確定届け出給与の本当の使い方≫
この制度ができたころから「社会保険料の節約ができる」という情報が出回っています。
月の役員報酬を低くして、事前確定届け出給与を多くすることで社会保険料を節約するという手法です。
個人的には全くおススメしていません。
理由は「本質的に意味がない」と考えているからです。
確かに社会保険料の節約にはなるかもしれませんが、節約理由がコスト負担がもったいないのであれば元々売上が足りていない可能性が高いからです。
コストを削り続けても収益を作らなければ行き詰まります。
この社会保険節約スキームも制度が変わったら通用しなくなります。
収益を創ることは会社経営にとって規制がかかりにくいものですし、本質的なビジネスそのものです。
事前確定届け出給与の本当の使い方は目標売上や利益を達成する経営者のモチベーションアップに使っていただきたいのです。
その趣旨で支給をすることで会社は成長し、社員の給与も上げられるようになります。
3.役員報酬改定は税理士さんに聞いてみよう
役員報酬の改定は「社長がどうしたいのか」というものを持っていただきたいです。
そのうえで役員報酬の改定に無理がないかを税理士さんに相談してみることをお勧めします。
なぜなら、経営者は決定することが仕事なのに税理士さんに自分の給料を決めてもらわなければならないのはおかしいのです。
相談することは良いと思いますが、「自分の生活」や「やりたいこと」を含めて役員報酬について税理士さんに相談してみましょう。
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